高次脳機能障害とは、脳が損傷を受けたことにより生じる機能障害です。言語力、記憶力、運動能力などの低下を招く場合があります。
頭部に強い衝撃を受け、意識障害が現れた方で、次のような症状がある方は高次脳機能障害を負っている可能性があります。「すぐに物事を忘れてしまう」など加齢によるものと判別がつきにくいものもありますが、交通事故直後に症状がみられ始めた方、特に若年層の方で症状がみられる場合には、高次脳機能障害を疑う必要があります。
高次脳機能障害の症状は、ご本人様では気づきにくいものです。ご家族など、まわりの方々が注意し気づいてあげるようにしてください。
平成14年10月当時、10歳であったお子様が横断歩道を自転車で走行中、加害者の運転する普通乗用車にはねられ、怪我を負いました。1ヶ月半程度、病院にて意識不明のまま生死の境をさまよった末、幸いにも九死に一生を得ました。 ところが、一見すると怪我なども治って悪いところはなさそうなのですが、記憶力の低下、どもり・失語症、反射神経の鈍さ、運動能力の低下が目立ちました。
加害者の保険会社は「経過をみましょう」と言うものの、積極的な連絡もなく、そのまま時間だけが経過し、ご依頼者様が当事務所にいらっしゃったのは平成19年のことでした。交通事故による損害賠償請求権の消滅時効期間は、原則として3年です。その点でも、こちらのご依頼は問題を抱えていました。ですが、病院で診断を受けたところ、高次脳機能障害であるとの診断を受けました。 加害者とは訴訟で争うことになりましたが、結果、後遺障害に対する慰謝料は1,220万円、逸失利益は3,917万8,436円と認められました(ただし、ご依頼者様側の過失相殺前の金額です)。
このように高次脳機能障害は賠償額が高額になるケースが多いため、加害者との争いも激化・長期化する傾向にあり、解決に至るまでには様々なハードルをクリアしなければいけません。そのため、弁護士に依頼し、専門家からの適切なアドバイスやサポートを受ける必要があると言えます。