交通事故解決 川西の弁護士法人 村上・新村法律事務所

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危険運転・飲酒運転・人身事故

交通犯罪の起訴率は、あまり高くないです(令和2年の犯罪白書〈以下、単に白書といいます。〉によれば、一般事件が23.7%であるのに対し、過失運転致死傷等は1.3%、道路交通法違反は2.8%)。

 ところが、これが危険運転致死傷になると跳ね上がり、70.1%とかなり高くなります。ただ、その反面、立証も難しいことから、一時と比べて不起訴率も22.6%と上がってきています(平成16年の不起訴率は1.6%)。

1 要件(処罰法2条1号)

(1)客観的要件は、

ⅰアルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

 ➡  平成23年10月31日最高裁決定によれば「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは、アル  コールの影響により道路交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態とされています(詳細は、以下のブログを参照下さい。https://kawanishiikeda-law.jp/blog/1077

ⅱよって

ⅲ人を死傷させる、というものです。

 上記ⅰの「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」とは、具体的にはどの程度のアルコール量かといえば、参考になるのは、アルコール保有量と酔いの関係であり、一般的には以下のようにいわれています(以下は、東京地方検察庁交通部研究会編集「改訂道路交通法辞典」東京法令出版を参考にしました。)。

血中濃度mg/ml呼気濃度mg/L程度
0.5~1.50.25~0.75微酔
1.5~2.50.75~1.25軽酔
2.5~3.51.25~1.75深酔
3.5~4.51.75~2.25泥酔

 軽酔の症状といっても「自己も酩酊を認識し得る。殆ど不快感を伴わぬ眩暈があり、きわめて快活、有頂天となり、運転失調が容易に周囲の人に気付かれる。千鳥足もその1つである。言語は幾分不明瞭となり、意想奔逸、話題が次々とかわる。感覚、特に痛覚が鈍磨し、手に持ったものを落したり、傷を受けても気がつかない。注意散漫となり判断能力が鈍るので、運転事故は必発である。」とされていて「他の証拠資料をまつまでもなく…「酒酔い運転」と認定して認めてさしつかえないのではなかろうか。」とされています。

 また、微酔の症状といっても「抑制がとれ陽気となりなり、決断が速やかになる。従って、誤りもでる。皮膚、特に顔面・頚部の皮膚が充血により紅潮し、多弁となり、運動過多、落ち着きがなくなる。この程度の酩酊では、本人はむしろ能力をましている感をもつが、厳密なテストをしてみると、運動不調が来ているし、また、作業能力も減退しているのが知られる。」とされています。従って、微酔の場合であったとしても「正常な運転が困難な状態」であれば、危険運転致死傷罪は成立し得ます。ただ、特にその数値が低い場合(呼気濃度0.25mg/Ⅼ)には、その成否が争われることが多いと思います。

 例えば、前述した平成23年最高裁決定の事案も、事故後約50分を経過した時点でのアルコールの呼気濃度は、0.25~0.3mg/Ⅼに過ぎないというものでした。第1審判決は、被告人が運転開始から事故までの約8分間にわたり、左右に湾曲した道路や車道幅員の狭い道路でも接触事故等を起こすことなく自車を道なりに走行させており、蛇行運転や居眠り運転等をしなかったこと等から、危険運転致死傷罪の成立を否定しました。ところが、が、第2審判決・平成23年最高裁決定は、被告人が、最終的には見通しの良いほぼ一直線の制限速度50㎞の道路を、時速約100㎞で走行するに至っていたところ、被害車両を遅くとも衝突の約9秒前(車間距離としては約150m)から認識できる状況であったにもかかわらず、本件事故前に8秒程度の空白時間があったことをもって(第2審判決は見落としと評価、平成23年最高裁決定は見落とし乃至は前方不注視と評価)これを酩酊による危険運転としました。

(2)主観的要件

酩酊による危険運転致死傷罪が成立するためには、客観的要件ⅰに対応する運転者の認識という主観的要件が必要になります。従って「正常な運転が困難な状態」であるとの評価根拠事実、例えば、酒のせいでふらふらする、物が二重に見える、前方がよく見えなくなった等の事実の認識が必要です。

2 刑罰

危険運転致死傷罪が存在する場合、別個に酒酔い運転・酒気帯び運転罪は成立しません。この点が、過失運転致死傷罪と異なります。

危険運転致死傷罪は、重大犯罪ですから、法定刑は、「負傷させた場合は懲役15年以下/死亡させた場合は懲役1年以上(20年以下)」と重くなっています。酒酔い運転による過失運転致死傷罪の法定刑(併合罪として懲役10年6月以下)を大きく上回るものですから、同罪にとどまれるような事情があれば争う必要があります。

ちなみに、令和2年度犯罪白書(以下、白書といいます。)によれば「致傷」に留まった場合の執行猶予の割合は、265/292名ですが「致死」の場合は、17名全員が実刑になっています。

3 違反点数

種類状況点数欠格期間
危険運転致死死亡62点8年
危険運転致傷治療期間3月以上又は後遺障害55点7年
治療期間30日~3月未満51点6年
治療期間15日~29日48点5年
治療期間15日未満45点5年

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