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女子の後遺障害による逸失利益(5990万~7525万円)

女子(女の子、症状固定時18歳未満の未就労者)が事故で後遺障害を残した場合に、逸失利益をどのように計算して損害賠償請求するのかについて解説します。

 後遺障害による逸失利益の問題とは、事故による後遺障害がなければ得られたであろう利益として、いくら損害賠償請求できるのかという問題です。

後遺障害による逸失利益は次のとおり計算します。

  (1)基 礎 収 入 額 × (2)労働能力喪失率 × (3)(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)
※就労している子どもの場合は、[労働能力喪失の始期=症状固定日]となるため、上記の「-18歳に達するまでのライプニッツ係数」の部分の減算は不要です。  

(1)基礎収入額

 未就労の子どもは事故当時には収入がありませんが、事故により死亡しなければ将来において収入を得られた可能性があります。そこで、原則として、賃金センサス第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、男女全年齢平均の賃金額を基礎とします(弊所HP・後遺障害逸失利益の算定とライプニッツ係数参照、https://kawanishiikeda-law-jiko.com/7654-3/)。

[女子]の場合は、高校卒業くらいまでは、女性労働者の全年齢平均ではなく、全労働者(男女計)の全年齢平均で算定する考え方が有力です(5068.4千円)。ただ、大学進学等の進路が決まっているような場合には、相応する女性の平均賃金を用いることが多いです(3996.5千円)。それでは実態に合わないというべき具体的な事情が存在する場合には、当該事案における個別の事実関係に即して、どの平均賃金を用いるかを判断することになります。

(2)労働能力喪失率

労働能力の低下の程度のことをいい、基本的には、後遺症が自賠法施行令別表の後遺障害等級のいずれに該当するかが認定された上、下記のとおり、旧労働省労働基準局長通牒(昭32.7.2基発第551号)別表の労働喪失率表に定められた労働能力喪失率が認定されます。

例えば、後遺障害7級の場合56%、後遺障害12級の場合14%、後遺障害14級の場合5%になります(それ以外の等級・労働能力喪失率については、弊所HP・後遺症による逸失利益参照、https://kawanishiikeda-law-jiko.com/234-2/)。

(3)労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

ライプニッツ係数とは、中間利息控除によって将来の利益を現在価値に換算するための係数のことです。逸失利益の損害賠償請求は将来の損害を請求するものですから、労働能力喪失期間を単純に掛け合わせて計算するのではなく、ライプニッツ係数に置き換えて計算することになります(弊所HP・後遺障害逸失利益の算定とライプニッツ係数参照、https://kawanishiikeda-law-jiko.com/7654-3/)。

大人や就労している子どもの場合は労働能力喪失期間の始期は症状固定日とされますが、未就労の子どもの場合は原則として18歳が労働能力喪失期間の始期となります。これは、就労開始を18歳と想定しているためです。

したがって、未就労の子どもが大学進学等によりそれ以降の就労を前提とする場合は、就学終了予定時を労働能力喪失期間の始期としますので、18歳よりも遅くなります。

労働能力喪失期間の終期は、67歳とされるのが原則です。

したがって、未就労の子ども(女子を含む)の場合、上記の【算定式】のとおり、

(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)

で計算するのが原則です。

   労働能力喪失期間の終期は67歳が原則とはいいましたが、後遺障害12級、14級の場合に、労働能力喪失期間を10年、5年程度に制限する例も多くみられます((弊所HP・後遺障害逸失利益の算定とライプニッツ係数参照、https://kawanishiikeda-law-jiko.com/7654-3/)。そうすると、例えば6歳の時に14級の後遺障害を負ったとしても、18歳を迎えるまでに上記の5年が経過してしまいます。このような場合、後遺障害逸失利益が認定される可能性は低いですから、事案に応じて別の法的構成で損害主張を組み立てる必要があります。

(4)計算例

[女子]が後遺障害により労働能力が56パーセント低下(後遺障害7級)した場合を例に逸失利益を計算してみます。便宜上平均賃金は令和5年のものを用いています。

症状固定時10歳506万9400円×0.56×20.1312=5714万9738円 男女の平均賃金    ↑ライプニッツ係数の計算
症状固定時18歳 高校生506万9400円×0.56×25.5017=7239万5858円 男女の平均賃金    ↑始期が18歳
症状固定時18歳 大学進学予定の高校生470万 0200円×0.56×21.7846=5733万9507円 大卒女性の平均賃金 ↑始期が22歳(就業予定時)
症状固定時18歳 中学卒業後飲食店勤務399万6500円×0.56×25.5017=5707万3824円 女性の平均賃金     ↑始期が18歳

大学進学予定の高校生について・・・③

型にあてはめると②よりも大学進学予定の③の方が基礎収入額は低くなりますし、③は大学進学によって就労開始が遅れることから、期間の点においても②より不利となります(とはいえ、高校進学をしないと基礎収入が減るので、④の様になります。なお、④は、飲食店に勤務したものの15歳で死亡した女子の事例に関する判断です、東京地判H25・9・6)。

ただ、高校生の女子について、女性の平均賃金を基礎とした例もあります。このような考え方によれば、②の基礎収入額は419万4400円と少なくなります。

水戸地判平成23年2月7日(自保1854・134) 「Aは英語が得意で、高等学校卒業後好きな英語の勉強を続けていきたいとの希望を有していたもので、4年生大学に進学する可能性も一定程度あるといえるが、それは可能性の問題に止まる。まして、Aが生涯を通じ賃金センサス産業計・企業規模計・男女計の全年齢平均賃金を取得していく蓋然性があったとは認められない。以上から、本件において、賃金センサス産業計・企業規模計・学歴計女子労働者の全年齢平均賃金額(平成20年は年収349万9900円)に基づき収入額を算定することが相当である。」

年少者について・・・①

①・②は、いずれも労働能力喪失期間が18歳~67歳です。しかし、症状固定から18歳までの期間は、①の方が②よりも8年多いです。②は、その8年の中間利息控除が少ない分だけ、請求できる金額が多くなってきます。

逸失利益はあくまで将来の労働に関して賠償するものです。より若い時に後遺障害が残ったとしても、労働能力喪失期間として差がない以上は、より若く症状固定してより早く請求が可能な方が、その利益の早取り分だけ請求できる金額が少なくなってしまいます。その部分については、別の法的構成による損害主張を行うなどの工夫が必要です。

中間利息控除の計算過程・・・①、②を例として

① 20.1312となる計算↓

67年-10年=57年に対応するライプニッツ係数 27.1509

18年-10年=8年に対応するライプニッツ係数 7.0197

27.1509-7.0197=20.1312

② 25.5017となる計算↓

67年-18年=49年に対応するライプニッツ係数 25.5017

18年-18年=0年に対応するライプニッツ係数

25.5017-0=25.5017 

(5)まとめ

 基礎収入額としてどの属性の平均賃金を用いるか、症状固定を何時にするかは、逸失利益の金額に大きく影響します(5941万円~7525万円。なお、子どもが交通事故の被害者である場合の問題点については、弊所HP・子供の事故を参照ください。https://kawanishiikeda-law-jiko.com/531-2/)。その意味で、子ども、特に女子の逸失利益が問題になるような交通事故については、早めに弁護士に相談・依頼するのが得策です。

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