交通事故解決 川西の弁護士法人 村上・新村法律事務所

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保険会社の役割

交通事故に遭ってしまった際、多くの人が直面するのが示談交渉です。事故の衝撃や怪我の痛みも癒えないうちに、加害者側の保険会社から連絡が来て、示談の話が進んでいくというケースは少なくありません。

しかし、「示談交渉」と聞くと、身構えてしまう方も多いでしょう。専門用語が飛び交い、複雑な手続きが必要そう…そうしたイメージから、ついつい保険会社の言う通りにしてしまいがちです。しかし、何も知らずに交渉に臨んでしまうと、本来受け取れるはずの補償がもらえなかったり、不利な条件で合意してしまったりするリスクがあります。

特に重要なのが、示談交渉の相手となる保険会社の役割を正確に理解することです。保険会社は、単なる手続き代行業者ではありません。彼らの行動原理や、示談交渉における立ち位置を知ることで、私たちはより冷静かつ有利に交渉を進めることができます。

保険会社は、示談交渉において、ある意味2つの相反する顔を持っています。

まず、保険会社は、加害者(契約者)側の立場から示談交渉を行う者です。事故を起こした加害者は、精神的にも動揺していることが多く、被害者との直接的なやり取りは大きなストレスとなります。そこで、保険会社が間に入り、専門的な知識と経験を活かして交渉を進めます。

この役割を担うことで、保険会社は被害者とのトラブルを回避し、円滑な解決を図るという重要な使命を負っています。加害者にとっても、保険会社に任せることで、示談交渉の手間や精神的な負担を軽減できるというメリットがあります。

しかし、保険会社は同時に営利企業でもあります。彼らの主な目的は、保険事業を通じて利益を上げることです。

交通事故の示談交渉において、この目的は「支払う保険金をいかに低く抑えるか」という行動原理につながります。支払う保険金が少なければ少ないほど、会社の利益は大きくなるからです。

このため、保険会社は、示談交渉の初期段階で、被害者にとって不利な金額を提示してくることがあります。例えば、治療費や休業補償、慰謝料など、さまざまな項目がありますが、それぞれの算定基準において、保険会社は自社に有利な解釈や基準を用いて交渉を進めることが多いのです。


では、私たちはこの「2つの顔」を持つ保険会社と、どのように向き合えばよいのでしょうか。示談交渉を始める前に、以下の3つのポイントを必ず押さえておきましょう。

示談は、加害者と被害者が互いに譲歩し、双方の合意によって成立するものです。保険会社の提示する金額に、必ずしも従う必要はありません。

保険会社の担当者は、専門的な知識を盾に、あたかもその金額が「適正」であるかのように説明することがあります。しかし、それはあくまで保険会社側の提示額であり、あなたが納得できなければ、合意する必要はありません。このことを心に留めておくだけで、精神的なプレッシャーはだいぶ軽減されるはずです。

示談金、特に慰謝料の計算には、主に3つの基準があります。

  1. 自賠責保険基準:自賠責保険が定める最低限の補償基準。
  2. 任意保険基準:各保険会社が独自に定める基準。自賠責保険基準よりは高いものの、後述の裁判基準よりは低いのが一般的です。
  3. 裁判基準(弁護士基準):過去の裁判例に基づいて算出される最も高い基準。弁護士が介入した場合に用いられることが多いです。

保険会社は、まず任意保険基準、場合によっては自賠責保険基準に近い金額を提示してくることが多いです。しかし、この金額はあくまで保険会社の都合によるものであり、裁判所により本来認められるべき金額く、即ち、あなたが受け取れるべき適正な金額とは限りません。


もし、保険会社の提示する金額に納得がいかない場合や、交渉が難航する場合は、弁護士に相談することを検討しましょう。

弁護士は、あなたの代理人として、加害者側の保険会社と対等に交渉を行うことができます。弁護士が介入することで、示談金の算定基準を**裁判基準(弁護士基準)**に引き上げることが可能になり、結果として受け取れる示談金が大幅に増えるケースも少なくありません。

また、弁護士は、示談交渉に必要な書類の準備や手続きのサポートも行ってくれるため、精神的な負担も大きく軽減されます。最近では、多くの任意保険に弁護士費用特約が付帯しており、これを利用すれば、弁護士費用を気にすることなく相談・依頼することができます。


談交渉を始める前に、まず「知る」ことから

示談交渉は、交通事故後の生活再建を左右する重要なプロセスです。しかし、専門知識のない個人が、専門家である保険会社と対等に交渉することは非常に困難です。

だからこそ、私たちは「示談交渉を始める前に、まず『知る』こと」を始めなければなりません。保険会社がどのような立場で交渉に臨んでいるのか、示談金の算定基準にはどのような種類があるのか、そして、困ったときに頼れる専門家がいるということ。

これらの知識があるだけで、保険会社とのやり取りに対する心構えは大きく変わるはずです。焦って示談書にサインする前に、一度立ち止まり、冷静に状況を整理してみてください。あなたの正当な権利を守るために、知恵を味方につけて交渉に臨みましょう。

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