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死亡交通事故で「過失割合」が激しく争われる理由と、賠償額への恐ろしい影響

死亡交通事故で「過失割合」が激しく争われる理由と、賠償額への恐ろしい影響

ご家族が突然の死亡事故に巻き込まれてしまったとき、遺されたご遺族には深い悲しみとともに、気が遠くなるような手続きや示談交渉が押し寄せます。

その示談交渉のなかで、最も激しいトラブルに発展しやすいテーマの一つが「過失割合(かしつわりあい)」です。

「大切な家族を奪われたのに、なぜこちらにも責任があると言われなければならないのか」と、強い憤りを感じるご遺族は少なくありません。しかし、この過失割合は最終的に受け取れる賠償額を数千万円単位で左右する極めて重要な要素なのです。

今回は、死亡事故においてなぜ過失割合が争いになりやすいのか、そしてそれが賠償額にどう影響するのかを、弁護士の視点から分かりやすく解説します。


1. そもそも「過失割合」とは?

過失割合とは、「発生した事故に対して、当事者それぞれにどれくらいの不注意(責任)があったか」を数字で表したものです。例えば「80:20」や「100:0」のように表現されます。

過去の膨大な裁判例をベースに、「こういう事故なら、基本の割合はこれくらい」という基準があらかじめ決まっています。そこに、スピード違反や脇見運転といった「個別の事情(修正要素)」をプラス・マイナスして、最終的な割合が決定されます。


2. 死亡事故で過失割合が「激しく揉める」2つの理由

死亡事故では、通常のケガの事故(人身事故)以上に、過失割合をめぐって泥沼の争いになるケースが多発します。理由は大きく分けて2つあります。

① 被害者(亡くなった方)の証言が得られない

これが最大の理由です。警察の捜査や実況見分において、加害者側の一方的な言い分(「相手が急に飛び出してきた」「青信号だった」など)だけで初期の捜査書類が作られてしまうリスクがあります。亡くなった被害者は反論できないため、遺されたご遺族が加害者のウソや記憶違いと戦わなければならなくなります。

② 金額が大きいため、保険会社も譲らない

死亡事故の損害賠償金は、慰謝料や将来得られるはずだった利益(逸失利益)などを含めると、数千万円から1億円を超えることも珍しくありません。金額が大きいぶん、過失割合が数パーセント変わるだけで、保険会社が支払う金額が何百万円・何千万円も変わってきます。そのため、加害者側の保険会社も簡単には妥協せず、非常にシビアに主張してきます。


3. 過失割合が1割変わるだけで、賠償額は「数千万円」変わる

被害者側にも落ち度(過失)があると認められると、その割合のぶんだけ賠償金が差し引かれます。これを「過失相殺(かしつそうさい)」と呼びます。

これがどれほど恐ろしい影響を与えるか、具体的な数字で見てみましょう。

【例:総損害額が8,000万円と認められた死亡事故の場合】

  • 過失割合が「加害者 100 : 被害者 0」の場合
    👉 遺族が受け取れる金額:8,000万円(満額)
  • 過失割合が「加害者 90 : 被害者 10」の場合
    👉 10%(800万円)が引かれ、受け取れる金額:7,200万円
  • 過失割合が「加害者 70 : 被害者 30」の場合
    👉 30%(2,400万円)が引かれ、受け取れる金額:5,600万円

このように、「たった1割、こちらに不注意があった」とされるだけで、手元に残るお金が800万円も減ってしまうのです。3割となれば2,400万円の減額です。これでは、亡くなった方の無念を晴らすことも、遺されたご家族のこれからの生活を守ることも難しくなってしまいます。


4. 特に過失割合が争われやすい「4つのケース」

以下のような状況での死亡事故は、特に過失割合の主張が食い違い、揉めやすい傾向があります。

  • 信号機のない交差点での事故: どちらが先に交差点に入ったか、どちらの速度が速かったか
  • 歩行者の道路横断中の事故: 横断歩道ではない場所を渡っていた、夜間で衣服が暗く見えにくかったなど
  • 夜間や悪天候時の事故: 被害者側の「ライトの点灯状況」や「見落とし」が主張されやすい
  • お互いの信号の色が争点になる事故: どちらの信号が「青」で、どちらが「赤」だったか(目撃者がいないと平行線になります)

5. 正当な過失割合を勝ち取るために、弁護士ができること

加害者側の保険会社から提示された過失割合に納得がいかない場合、そのまま示談書にサインをしてはいけません。弁護士に依頼することで、以下のようなアプローチで正しい過失割合の証明を目指します。 [1]

  • 刑事記録の徹底的な分析: 警察が作成した「実況見分調書」を取り寄せ、加害者の供述に矛盾がないか、現場のブレーキ痕や車の破損状況と一致しているかを科学的に検証します。
  • 客観的証拠の確保: 現場周辺の防犯カメラ映像、事故車両のドライブレコーダー(ドラレコ)の映像などを保全・解析します。
  • 適切な交渉と裁判手続き: 保険会社が提示する理不尽な割合を拒否し、裁判基準(弁護士基準)での正しい割合での解決(必要であれば訴訟)へ導きます。

最後に:不信感を抱いたら、すぐに専門家へご相談を

死亡事故における過失割合の交渉は、法律の知識だけでなく、事故状況を再現・証明するための専門的なノウハウが必要です。相手の保険会社は「これが基準ですから」とさも決まり事のように提示してきますが、それが本当に正しいとは限りません。

ご遺族が泣き寝入りすることのないよう、少しでも相手の主張に疑問や不信感を抱いた場合は、できるだけ早い段階で交通事故に強い弁護士へご相談ください。私たちがご遺族の味方となり、亡くなられた方の無念を晴らすために全力を尽くします。

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