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指・後遺症(損害賠償総額・手小指640万円・足母指1100万円)

1 はじめに

  手指・足指の後遺症の類型としては、欠損障害(指を失ったもの)と機能障害(用を廃したもの)があります。前者の判断は明確ですが、後者の中でも可動域制限(健全な場合と比較して動かない)については、後述するとおり、争われることが多いです。

以下、村上新村法律事務所所属の弁護士が関係した事案を参照に説明します。

2 1手の小指の用を廃したもの(13級6号)

(1)Ⅹが、大型バイクを運転していたところ、並走車両にあおられ転倒、バイクもろとも当該車両に衝突した結果、左小指末端骨骨折、左小指爪剥離欠損の負傷をしたものです。治療中は包帯をしていましたが、Ⅹは、飲食店を経営し食品を扱っていたため、仕事に多大な支障がでました。

(2)用廃による指の後遺症診断の際は、可動域測定をします。

 手の小指(親指以外の指)の場合、4つの骨があり、指先から①末節骨②中節骨③基節骨④中手骨といいますが、このうち①と②の間をDIP(遠位指節間関節)・②と③の間をPIP(近位指節間関節)・③と④の間をMCP(中手指節関節)関節といいます。これらの参考可動域は、DIPが80°=屈曲80°伸展0°、PIPが100°=屈曲100°伸展0°、MCPが屈曲90°伸展45°です。

手の小指のDIPについては「屈伸することができなくなったもの」が14級7号の後遺障害とされ、その判断基準は「強直」「自動屈伸できない」等です。PIPについては「用を廃したもの」が13級6号の後遺障害とされ、その判断基準は「可動域角度2分の1以下の制限」です。

(3)Ⅹの場合、重いものが持てない、運転時にしっかりハンドルを握れない、力をコントロールしづらい、手のしびれを感じるといった症状が長く続き、結局、小指のDIP・PIP共に、治療を経ても曲がらない状態が残りました。

  後遺障害等級(13級6号・小指の用廃)を得るだけの可動域制限は十分にありましたが、可動域制限を理由とする「用廃」の判断は、後遺症診断時の状況が大きく影響します(医師や患者による影響を受け易い)。従って、後遺障害診断書の可動域の記載だけで確実に認定されるとはいえません(信用され難い)。そこで、後遺障害診断を受ける際には、可動域制限を裏付ける器質損傷があるか、治療経過の中で幾度か可動域測定の検査がされていないか等、注意しておく必要があります。

その分、後遺障害等級が認められると、その慰謝料は高額になり、特に、指の動きは人の行動に大きな影響を与えることから、多額の逸失利益を発生させる場合にもつながります。

(4)Ⅹの場合は、以上の点からしても十分に「用廃」を根拠付けることができたことから、被害者請求の段階で後遺障害等級が認められました。

結果として、Ⅹは、後遺障害慰謝料180万円、逸失利益250万円を含む合計640万円の損害賠償を得ることができました。

3 1足の第1の足指(母指)の用を廃したもの(12級12号)

(1)Yが、自転車で直進中、左折しようとした軽自動車にはねられ、右太ももの裂傷、右足指骨折等の負傷をしたものです。7か月程の治療をしましたが、足指の痛みが残り、長距離を連続して歩けない、先の細い靴など足に負担のかかる形状の履物を履けない等の生活上の支障が残りました。

(2)足の母指の場合、3つの骨があり、指先から①末節骨②基節骨③中足骨といいますが、このうち①と②の間をIP(指節間関節)・②と③の間をMTP(中足指節関節)といいます。これらの参考可動域は、IPが60°=屈曲60°伸展0°、MTPが95°=屈曲35°伸展60°です。

 足の母指のIP・MTPについては「用を廃したもの」が12級12号の後遺障害とされ、その判断基準は「可動域角度の2分の1以下の制限」です。

(3)Yについては、後遺障害等級を得るだけの可動域制限は十分にありましたが、念を入れて、後遺障害診断を受ける際には十二分に注意したところ、後遺障害等級12級12号が認められました。

相手方提示額は、当初、後遺障害等級が認められないだろうことを前提に、わずか160万円程でしたが、後遺障害等級認定を受けた後は、攻めに転じ合計1100万円程で示談することができました。

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