交通事故で背骨(脊柱)が変形・後遺障害認定と「働く能力への影響(労働能力喪失率)」で損をしないためのポイント
交通事故の強い衝撃によって、背骨(脊柱)を圧迫骨折したり、脱臼したりすることがあります。治療を続けても元に戻らず、背骨が曲がったまま変形してしまった場合、それは「脊柱変形」という後遺障害に該当する可能性があります。
「見た目が変わってしまっただけでなく、痛むし体も動かしづらい。でも、デスクワークなら働けるから補償は少なくなるの?」
「保険会社から提示された労働能力喪失率に納得がいかない……」
このような不安や疑問を抱えている方は少なくありません。
今回は、交通事故による脊柱変形の後遺障害等級と、賠償金(特に逸失利益)を大きく左右する「労働能力喪失率」について、弁護士が分かりやすく解説します。
1. 脊柱変形の後遺障害等級はどう決まる?
交通事故で背骨が変形した場合、自賠責保険では「脊柱に著しい変形を残すもの」や「脊柱に変形を残すもの」として、以下のいずれかの後遺障害等級に認定される可能性があります。
| 等級 | 障害の状態(認定の目安) | 労働能力喪失率 |
|---|---|---|
| 第6級5号 | 脊柱に著しい変形を残すもの (例:X線写真などで、背骨が明らかに激しく圧迫骨折・脱臼していると確認できるものなど) | 67% |
| 第11級7号 | 脊柱に変形を残すもの (例:脊柱を圧迫骨折等し、骨が潰れて変形していることがX線などで確認できるものなど) | 20% |
※上記は変形障害の代表的な例です。脊柱の「運動障害(動かしにくさ)」が残った場合は、また別の等級(6級、8級など)が検討されます。
2. 労働能力喪失率とは?なぜこれが重要なの?
後遺障害が残ると、将来にわたって得られるはずだった収入が減ってしまうことに対する補償として「逸失利益(いっしつりえき)」を請求できます。
この逸失利益を計算するときに、非常に重要な鍵を握るのが「労働能力喪失率」です。
労働能力喪失率とは、「後遺障害のせいで、事故前と比べて働く能力が何%低下したか」を表す割合のことです。
原則として、国が定めた基準(上の表の67%や20%)が目安になりますが、これがそのまま認められるとは限りません。ここが最大のトラブルの引き金になります。
3. 脊柱変形特有のトラブル:「仕事に影響がない」という保険会社の主張
脊柱変形の事案で、加害者側の保険会社がよく主張してくるのが次のようなセリフです。
「背骨は変形していますが、手足は動きますし、デスクワークですよね? それなら仕事への影響は少ない(あるいは無い)ので、労働能力喪失率はもっと低く計算します(または逸失利益は払えません)。」
確かに、脊柱変形は「見た目の変形(骨の変形)」が主な評価対象となるため、神経症状や麻痺がない限り、一見すると「今まで通り働けるのでは?」と思われがちです。外部醜状と異なり体内の一部の損傷にとどまります。また、脊髄(神経)ではなくその周りの骨の損傷に過ぎません。神経が傷つくと稼働に影響することは明らかなのでしょうが、骨の場合に同様といえるのか。以上が、脊柱損傷について、紛争を複雑化する要因です。
しかし、実際の患者様は次のような深刻な痛みを抱えています。
- 長時間のデスクワークや運転で、背中や腰に激しい痛み・疲労感が出る
- 重いものを持てない、中腰の姿勢が維持できない
- 変形をかばうために肩こりや頭痛、体全体のバランスの崩れに悩まされる
これらはすべて、立派な「労働能力の低下」です。
外部醜状痕に関するブログ記事は、こちら https://kawanishiikeda-law-jiko.com/22-2/
4. 正当な補償(労働能力喪失率)を認めさせるための対策
保険会社の「仕事に影響がない」という主張を覆し、本来の労働能力喪失率(11級なら20%、6級なら67%)を認めさせるためには、具体的な証拠をもって反論する必要があります。
弁護士は、主に以下のポイントを主張・立証していきます。
- 具体的な業務への支障
「どのような作業のときに」「どこがどのように痛み」「どれくらい作業効率が落ちているか」を具体的に書面で伝えます。 - 就労環境の変化や不利益
事故のせいで残業ができなくなった、配置転換(軽い部署への異動)を余儀なくされた、昇進や転職で不利になる可能性などを指摘します。 - 医師の診断書や意見書の活用
医学的な見地から、その変形が日々の労働にどれほどの肉体的負担を与えているかを証明します。
5. まとめ:背骨の変形トラブルは、お早めに弁護士へご相談を
脊柱変形の後遺障害は、「見た目の変形(骨の変形)」と「実際の仕事への支障(肉体的な辛さ)」のギャップが大きいため、示談交渉で最も揉めやすい分野の一つです。
保険会社から提示された金額を見て、「痛みを我慢して働いているのに、なぜこんなに低く見積もられるのだろう」と一人で悩む必要はありません。
弁護士にご相談いただければ、あなたの仕事内容や実際の症状を丁寧にヒアリングし、正当な労働能力喪失率を認めさせるためのサポートをいたします。手遅れになる前に、ぜひ一度お気軽にご相談ください。



